複数のECサイトで物販を行なっていると、Amazonでの返品率の高さが気になる方も多いのではないでしょうか。物販ビジネスに取り組む以上、返品の可能性をゼロにすることはできません。返品対応に手間取らないためにも、正しい対応の仕方を覚えておきましょう。
Amazonの返品対応のなかには、“すり替え詐欺”という悪質なケースもあります。今回の記事では、Amazonで起こりがちな悪質な返品事例、返品対応のやり方について解説します。Amazonでの悪質な返品を予防する方法も説明しますので、ぜひ参考にしてください。
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Amazonは商品数が豊富で集客力が高いことから、転売やせどりでもよく使われます。物販ビジネスでは欠かせない存在ですが、Amazonは基本的に“顧客ファースト”の企業であることを理解しておかなくてはなりません。
Amazonでは返品・交換の条件が他の通販サイトよりも緩いため、返品率の高さに悩まされることが多々あります。
商品の破損や出品者側のミスで返品されるのは仕方ないことですが、Amazonの場合はお客様都合の理由でも比較的簡単に返品できてしまいます。購入者にとってはうれしい仕組みですが、出品者にとってはそれが悩みの種にもなります。
Amazonの商品に何らかの問題があった場合、購入者は商品の到着後30日以内に返品申請・対象物の発送手続きを行ないます。お客様都合の返品・交換の場合、未使用かつ未開封であれば全額返金され、開封済みの商品でも商品代金(税込)の50%が返金されます。
「開封済みの商品でも価格の50%を返金しなければならない」というのは、転売やせどりで利益を得ている出品者にとっては重大な問題です。新品でなければ価値が下がる商品もあるので、Amazonの返金システムは出品者にとって厳しい条件といえるでしょう。
Amazonの返品理由はさまざまですが、一般的には以下のような理由が挙げられます。
上記のように、商品の品質や配送方法に問題がなくても、お客様都合で返品が可能です。ただし、Amazonの“顧客ファースト”の姿勢を悪用して、悪質な返品申請を行なう購入者も存在します。
Amazonでは返品申請が簡単であるため、すり替え詐欺のような悪質な行為が横行しやすいです。この場合、商品を購入して中身を抜き取ったあと、別のものにすり替えて返品申請を行ないます。
他にも同じ商品をすでに持っているにも関わらず、「古くなったものを新品と交換したい」という目的ですり替えを行なうケースもあります。
さらには、「商品が箱に入っていない」という嘘のクレームを入れたり、付属品だけを抜き取って送り返したりするなど、詐欺の手口はさまざまです。高額商品の場合はすり替え・抜き取りリスクも大きくなるため、十分に気を付けましょう。
Amazonでは「商品の到着後30日以内であれば返品可能」という返品条件が定められています。この仕組みを悪用して、「返送期限の30日以内までは商品を一時的に使える」という無理な解釈をする人が存在します。
商品の到着後、30日の返品期限ギリギリまで使用してから返品するわけですが、出品者側からすれば非常に迷惑な行為です。
Amazonで商品を注文したものの、気が変わって受け取りを拒否するケースもあります。たとえ一度受け取ったとしても、商品の外観を見て未開封のまま返品を行なえば、全額返金の対象の対象となるわけです。Amazonの返品基準が緩いため、軽い気持ちで受け取り拒否を行なってしまう購入者もいます。
宅配の受け取り拒否には、他の出品者への嫌がらせ目的で代引き配送するケースも少なくありません。ライバルの出品している商品を購入して、適当な相手への代引き配送を行なえば、受け取り拒否でライバルのもとに商品が返送されます。販売のチャンスを失うという意味でも、迷惑きわまりない行為です。
AmazonでFBAを利用する場合と出品者発送の場合とでは、返品対応の仕組みが異なります。FBAの場合はAmazonが返品対応を代行しますが、出品者発送の商品に関しては、自分で返品対応を行なわなくてはなりません。
問答無用で返品されるFBAとは異なり、出品者発送の場合は返品に関するルールを出品者自身で調整できます。例えば、返送時の配送料を出品者負担にするか、購入者負担にするかなども、独自のルールで決められます。
ただし返送時の条件を厳しくしてしまうと、購入者から低評価レビューを付けられるおそれがあります。出品者アカウントの評価は、今後の売上を左右する要素であるため、十分に注意が必要です。
受け取り拒否で戻ってきた商品、未開封の状態で返品された商品に関しては、FBA倉庫で検品が行なわれます。破損などの問題がない場合は“販売可在庫”と見なされ、そのまま再出品されます。
FBAを利用した商品が“販売可在庫”となった場合、出品者側での処理は必要ありません。
返品されたFBA商品が“販売不可在庫”と判定された場合は、破棄もしくは返送のいずれかを選択します。
販売負荷在庫となった場合は、以下のいずれかの方法で処理を行ないましょう。
返送された商品が販売不可在庫になると、Amazonから出品者に通知が入ります。商品をFBA倉庫で破棄する場合は、所有権の破棄手数料が必要です。
販売不可在庫は30日間保管されますが、その期間分の在庫保管手数料が発生します。在庫保管手数料は商品のサイズや期間によって変動し、おおむね4,500円~10,000円程度かかるようです。このコストを抑えるためにも、早めに破棄か返送かを決めるのが望ましいでしょう。
なお、販売不可在庫をそのまま放置して30日間が過ぎると、Amazonの判断で自動的に捨てられてしまいます。高額商品の場合は、返送の手続きを怠っただけで多額の損失を抱えてしまうのです。
取り扱っている商品数が多い場合は、まとめて一度に対応したくなるかもしれません。しかし、Amazonからの通知が届き次第、すぐに返送手続きを行ないましょう。心配な方は、販売不可在庫の自動返送設定をしておくと安心です。
商品に不具合が見つかり再出品できないもの、開封済みの状態で返品されたものに関しては、販売不可在庫となります。
返送を選択した場合は、戻ってきた商品の検品を行なってください。新品として販売するのは難しくても、コンディション説明を変更すれば再出品が可能です。
なお、「FBA在庫の返送/所有権の破棄手数料」は、商品のサイズ・重量・商品数によって変わります。
参照:Amazonセラーセントラル『FBA在庫の返送/所有権の放棄手数料』
返送・破棄にかかる手数料はそれほど大きくありません。在庫保管手数料の負担もあるので、早めに返送手続きをするのがよいでしょう。
近年はすり替え詐欺を行なう購入者の存在が問題となっています。FBA倉庫からの返送後にすり替えが発覚した場合は、Amazonに補填申請を行なってください。
Amazonに連絡する前に、すり替えられた商品を撮影しておきましょう。Amazonテクニカルサポートにすり替えの経緯を伝えるときには、納品前の写真と返送後の写真を添付すると伝わりやすいです。
FBA倉庫から戻ってきた商品の状態がひどい場合は、ジャンク品として扱うことになります。
Amazonでの販売が難しい場合は、オークション(ヤフオクなど)やフリマサイト(メルカリ・ラクマなど)に出品して、ジャンク品として売り切りましょう。
最後に、返品対応で神経をすり減らしている方のために、Amazonの返品対応の心構えをお伝えします。
すり替え詐欺が起きた場合、出品者としてはAmazonに補填してもらえるかが重要となります。とはいえAmazon側としても、決定的な証拠がなければ出品者と購入者のどちらが正しいのか判断できません。
確実に補填してもらうためには、出品する際の対策が大切です。商品を仕入れた際の納品書、シリアルナンバーの写真、商品ラベルを貼り付けた状態の写真を残しておくことで、補填してもらえる可能性が高まります。
高額商品の場合は、すり替えによる損失も大きくなります。すり替え詐欺の被害を最小限に抑えるためにも、商品の記録はできるだけ残しておきましょう。
お客様都合の返品や悪意のある返品は悩ましい問題ですが、Amazonで今後も販売を続けるなら、返品対応を完全に回避することはできません。Amazonが顧客満足度を重視している以上、出品者への負荷が多少大きくなるのはある程度仕方がないことです。
Amazon物販に取り組んでいるライバルたちも、理不尽な返品理由に頭を抱えているはずです。「Amazonでは返品率が高いのは当たり前」と割り切って、地道に対応していきましょう。
Amazonは返品率がとても高く、すり替え詐欺など悪意のある返品も発生しやすいです。しかし、物販ビジネスをするなら、Amazonでの販売には慣れておきたいところです。
購入者側が悪質な返品を行なっている場合は、Amazonに連絡して補填を依頼しましょう。納品前にしっかりと商品の記録を残しておけば、すり替え詐欺のリスクを抑えられます。今回ご紹介した返品対応のパターンを覚えて、速やかな対応ができるよう徐々に慣れていきましょう。